海岸防災林機能を確保し、美しいマツ林の風致景観を未来に引き継いでいくため、間伐、堆積松葉除去、草刈り等により生育環境の改善を図り、健全なマツ林を再生します。
三保松原では、松原を再生するため4つの対策を実施しています。
①間伐
三保松原では現在、マツ林の過密化が進行しています。近年では、これを原因とした被圧による枯マツが多数発生しており、マツ林としての機能(防災・景観等)が損なわれています。
また、枯マツの発生はマツ材線虫病の感染源となる危険性が高いことから、適切な密度管理による間伐を進めていく必要があります。
しかし、幼齢林からのクロマツの密度管理手法は確立されていますが、既に成林している林分の手法は整備されていないため、令和元年度より間伐モニタリングを行い、密度管理の目標値設定のためのデータを収集しています。
※事業主体:静岡市
実 施:研究所
②堆積松葉除去
クロマツは年間を通して松葉を落とします。地面に松葉が溜まって腐ると、雑草や広葉樹が生えやすくなり、マツの成長を助ける菌根菌も弱ってしまうことから、定期的に松葉を取り除くこと(松葉掻き)が必要です。ボランティアの皆さんにより、熊手などで松葉を集め、袋に詰めて運び出す作業を行っています。
③草刈
きれいな景観の維持や、植栽・捕植した幼齢樹木が雑草に被圧されないために、マツ林内の草刈りを行っています。刈り取った雑草は、腐植土分を増加させないため、林外に搬出処分しています。
④三保由来マツの育苗 ・植栽
近年、台風の大型化や高温少雨の影響などにより、倒木や枯損するマツが増加しており、景観だけでなく、海岸防災林としての機能の低下が懸念されています。特に老齢大木は消失リスクが高いことから、生育状況が良好なうちに種子の採取と播種から育苗により、三保松原の生育マツの遺伝子を受け継ぐ後継樹を育成しておくことが重要です。
このため、静岡市は令和3 年度に圃場を整備し、羽衣の松のクローンなど三保由来のマツを育て、危険木伐採後の植栽や台風等の塩害で被害を受けた前線部の捕植を行います。
※令和4年3月完成